夏バテ予防にビタミンB群という記事の続きで、
残りのB群からB6、B12、葉酸、パントテン酸を紹介します。
ビタミンB6
欠乏すると皮膚炎になることから発見されたビタミンです。
たんぱく質の代謝に中心的な役割を果たしており、
健康な皮膚、髪、歯などを作ったり成長を促進します。
食物中のたんぱく質は体内に取り込まれると、
いったんアミノ酸に分解されてから必要なたんぱく質に再合成されますが、
このとき働くのがB6です。
たんぱく質の摂取量が多い人ほど自ずとB6の必要量が多くなります。
飲酒、肥満、糖尿病などが原因で肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態を脂肪肝といいます。肝臓に霜降り肉のように脂肪がたまったままの状態にしておくと肝硬変に進む恐れがあります。
肝硬変は肝細胞が壊れて繊維化し、増殖して硬くなり肝臓が働かなくなる病気です。
B6には肝硬変に移行する前の脂肪肝を取り除いたり、
脂肪肝ができるのを予防する働きがあります。
アルコール好きの皆さんはB6が多く含まれる食品(カツオ、マグロ、牛レバー、バナナ、にんにくなど)を積極的に摂取するのが良いと思います。
女性の場合、妊娠中はホルモンの関係でB6の需要が増すので不足しがちになります。
抗生物質を長期間服用している人も腸内細菌の育成が妨げられて欠乏しやすくなります。但し、妊娠中の場合、上記の食品の中でマグロは水銀が含まれているので摂取は極力控えましょう。
ビタミンB12
悪性貧血を予防をすることから発見されたビタミンです。
葉酸と協力して赤血球のヘモグロビンの合成を助ける働きがあります。
不足すると造血のメカニズムがうまく働かず貧血になります。
赤血球が減ったり、巨大な赤血球ができる巨赤芽球性貧血という悪性貧血になります。
鉄分不足による貧血とは区別して悪性貧血と呼ばれています。
B12は極端に偏食しなければ不足することはあまり考えられませんが、
B12は微生物によってのみ生合成されます。
つまり動物性食品にしか含まれません。
ベジタリアンやダイエットのため野菜しか食べないというような場合、
B12が不足する恐れが出てきます。
また不足すると手足のしびれ、めまい、動悸、集中力がなくなる、ふさぎ込むといった神経症状や精神症状が出る場合もあります。
マラソンで良いタイムを出したいがために、体重を落とそうとして、野菜のみの偏った食生活をおくるとメンタル的に少しおかしくなる危険性があると言えると思います。
葉酸
ほうれん草のエキスから分離、抽出されたことから名前がつきました。
B12同様、不足すると悪性貧血になります。
たんぱく質と核酸の合成にも関わっています。
核酸はDNAやRNAのことで、核たんぱく質として細胞の中にあって細胞分裂や遺伝に関わってきて、たんぱく質の合成と密接な関わりがあります。
葉酸は細胞分裂をしながら細胞が新生しているところで遺伝子や核酸の合成に働いているので、妊娠中や授乳中には多く必要とされます。
胎児や乳幼児の成長には欠かすことができないのもので、
不足すると胎児の場合は脳神経に障害が出たり、
乳幼児の場合は発育に大きく影響する恐れがあります。
妊娠中や授乳中の女性は通常の2倍は必要と言われています。
ちなみに「日本人の食事摂取基準」によると葉酸の一日の摂取推奨量は成人女性で240μgと定められています。
葉物のお野菜を摂取することは、とてもお大切な事と存じます!!
パントテン酸
広くどこにでもあるというギリシア語に由来していて、その名のとおり広くいろんな食物に含まれています。ビタミンB5とも呼ばれます。
糖質、脂質、たんぱく質の代謝に働いてエネルギーを産生するほか、
善玉コレステロールの生成に関わります。
コレステロールは肝臓と小腸で作られていますが、
生成されたコレステロールを身体中に運ぶのが悪玉コレステロールで、
余ったコレステロールを回収して肝臓に運び、胆汁やホルモンとして再生できるようにするのが善玉コレステロールです。
悪玉コレステロールが多すぎると動脈壁に付着して動脈硬化などの原因になりますが、
パントテン酸には善玉コレステロールを増やす働きがあり、
心臓や血管の病気の予防に役立つと言われています。
また強いストレスを受けると副腎が副腎皮質ホルモンを作って血糖値をあげ、
エネルギーを増大させてストレスに対抗しようとします。パントテン酸は副腎を強化し副腎皮質ホルモンの合成を促進する働きがあります。
ヘアケアやスキンケアの成分としても広く用いられていて、パンテノールを塗布すると細胞内に浸透してパントテン酸になり、痛んだ髪や肌の回復の助けにもなります。