内分泌
体の外側に出る現象は比較的理解しやすいと思います。
私たちの身体は目に見えない身体の内側でも様々な機能が働いています。
人間の身体は脳と神経によって支配されていると言っても過言ではないと思います。
私たちは生きていくうえで、あらゆる場面や状況、環境に対応していかなければいけません。外から得た様々な情報、刺激が脳に伝わると、対応していくための指示、命令が脳から発せられます。
指示、命令を伝達する物質の一つがホルモンです。ホルモンはそれを専門で産生する細胞から血液中へ分泌されます。このように体内へ分泌されるる現象を内分泌といいます。
ちなみに汗をかくのは外分泌です。消化液もそうです。消化液は胃などに分泌されますが、胃の内壁は体外と同様に考えられるので外分泌とされています。
細胞から細胞へ指示、命令が伝達される場合、細胞が物質を分泌して相手の細胞が受け取りますが、伝達物質にはいくつかあります。
ひとつがサイトカインというものです。細胞がサイトカインを分泌すると細胞の外へ流れ出ます。細胞の外には細胞外液、つまり体液があり、それによって濃度が薄まってしまいます。ゆえに細胞と細胞の距離が離れている場合には円滑に伝達が行なわれません。サイトカインは細胞と細胞が近い距離にある場合には有効といえます。
細胞と細胞が離れている場合はどうなるか、それは直接相手方の細胞へ手を伸ばす、この手にあたるものが神経です。距離が離れていても神経を通じて指示、命令を伝達させると瞬時に伝わります。(神経伝達のメカニズムは、それはそれで奥が深いので別の機会に説明できればと思います。)
そしてもうひとつの伝達方法が前述のホルモン分泌です。ホルモンは血液中に分泌され、全身へ運ばれるので濃度は一定に保たれ、伝達は安定して行なわれます。
サイトカインやホルモンを使って伝達される場合、神経伝達のように細胞と細胞が直接連結されているわけではないので、誤って別の細胞へ伝達されないようなシステムになっています。どういうことかというと出し手も受け手も決まっていて、間違って受け取らないようになっています。受容体(レセプター)とういうものがその役割を担っています。例えば血糖値を下げるために、すい臓から分泌されるインスリンはインスリン受容体のみと結合します。
内分泌にはフィードバックという機能もあります。アドレナリンというホルモンは皆さんご存知のことだと思いますが、これは血圧の上昇などを司っています。アドレナリンの分泌が際限無く続けば血圧はどんどん高くなり、抑制が効かなくなります。そこでホルモンの分泌量を調整しなければいけなくなってきます。その役割はまた別のホルモンが担っているということです。血圧が十分に上昇すれば、逆にそれ以上上げるなという命令が出ます。
これをホメオスタシス(生体の恒常性)と呼びます。人間の身体はホメオスタシスが働いている限りは生き続けることができます。