「六臓六腑」の働きに深く関わっているのが「経絡(けいらく)」というものです。鍼をうったり、マッサージをする時のいわゆる「ツボ」についてです。
「ツボ」とは体に分布している点のようなもので、それぞれ独立しているというように認識している方が多いのではないかと思います。正確には「経穴(けいけつ)」といいます。
実は「経穴」は点で独立しているのではなく、線でつながれています。
東洋医学では「六臓六腑」という考え方があります。(六臓は肝、心、脾、肺、腎、心包、六腑は大腸、胃、小腸、膀胱、三焦、胆を言い、西洋医学で言う臓器とは異なります。)
「経絡」とは人体をめぐるエネルギーのラインのようなものです。
主には14のラインがあり、このライン上に354の「経穴」があります。
人間の体が健康であれば「経絡」も正常であり、病気などの異常があれば「経絡」に変化が表れるとされています。
症状からどの「経絡」に異常があるかを診ていき、その異常を調整し、それは主に経絡上の「経穴」を対象に行います。
「経穴」は「エネルギーの流れが滞る=病気」の際に反応を表す場所なのです。
「経穴」は疾患が生じている部分だけではなく、遠隔部の「経穴」に反応を表すこともあります。
例えば腰痛の場合、腰だけではなく膝の裏、ふくらはぎ、踵の外側といった「膀胱経」という「経絡」の「経穴」に反応が出たりします。
つまり、鍼灸やマッサージといった施術を行う際に、東洋医学的な角度からアプローチする時は「経絡」や「経穴」に何らかの刺激を与えて体の異常を正常にするという事が本質になります。
東洋医学と西洋医学は何千年のいにしえから別々に発展したものでありますが、不思議な事にリンクしているようなところもあります。
「経絡」は「神経」や「血管」の走行に似ている箇所があります。
「膀胱経」という「経絡」は「坐骨神経」の走行と似ています。
「坐骨神経」は腰から出て大腿部の裏側~膝の裏~ふくらはぎを通っています。
何千年もの昔、洋の東西の交流が無かった頃から腰痛の治療に膝の裏の「経穴」を使っていたというのも何だか不思議でもあり、人間という生き物の能力の高さを感じたりします。
また、神経にはA(α、β、γ、δ)、B、Cという分類があり、感覚神経の場合、Ⅰ群、Ⅱ群、Ⅲ群、Ⅳ群という分類もあります。
「経穴」の近くにはAβⅡ群という神経線維が走っている事が多いのです。
この神経線維は筋肉にあり、運動および感覚に関する信号を伝えます。
このことからも東洋医学の治療に「経穴」を使うという事が西洋医学とリンクしているところがあり、とても意味深く神秘に感じます。